おやラボをはじめた理由

おやラボをはじめた理由

「おやラボ」という月1回の集会をはじめたのは、2023年4月。8月になった今でも、まだ主たる方針は決まっていないが、それがいい。何が必要なのか、じっくりと迷いながら進めていきたいと思っている。

TETAUでは自営型テレワーカーの育成という事業をここ数年やってきている。
ICTスキルを身につける場ではあるが、結果的に「生きていくのが楽になった」「人生が変わった」というふうにいきやすくなったと言われることが多い。

自律する(精神的に自立すること)は大変そうだと言われることが多いが、確立できればとても生きやすくなる。それと同時に、自分の役割を発揮できるようになり、他人に価値を提供できるようにもなっていく。共生社会の中では、どんな人にも必要なことだと感じている。

誰もが生きていきやすい自分の確立を目指して、テレワークを教える場を運営しながらずっと感じていたことがおやラボ開催の理由だ。

1つめは、自律した働き方を目指す人にとっての「自己肯定感が低い」という課題。ここでいう自己肯定感は、自己効力感だとは違う。だから「自信を持つ」のではなく、どんなに失敗してもうまくいかなくても私は私、と思えるかどうか、ということを指している。自己肯定感が低いと、失敗を恐れてチャレンジする気持ちをくじく。自分ではチャレンジしているつもりでも、想像しているよりも低いハードルにしか挑んでいないこともある。当然、望む成果が出にくい。成果が感じられなければ継続しにくい。結果、目標をクリアにすることが難しくなる。

2つめは、コミュニケーション。TETAUには2つだけルールがある。一つは「嫌なことは嫌と言う」。もう一つは「自分の機嫌は自分で取る」。嫌なことを嫌と言っても良いという環境を作ったら言えるかというとそんなことはない。ものすごい抵抗があり、なかなか言えないことの方が多い。そして自分の機嫌を取るために、相手の発言や発信を受け取る能力と、自分が相手にリクエストする能力が必要になる。これらもまた、自己肯定感が低いと難しい。

つまり、自律のためには、自己肯定感が欠かせない。

しかし、大人は難しい。

最近、筋トレを始めた。初日はものすごくキツかった。慣れない筋肉を使ったからか筋肉痛も酷かった。
しかし、2回目、3回目とやってみると、なぜか初日のような辛さがない。辛いけれど、比べれば大したことがない。
初日はトレーニングの内容もわからず進めていたから、動画越しのインストラクターが言うのに正確にやっていたのだと思う。しかし、2回目以降はどんな動きをするのか理解している。だから、無意識に「辛くないように」動いてしまう。動きや他の筋肉の補助を使って負担を軽減してしまうのだ。体は思っている以上に賢いな、と思う。

生きていく上で無駄なエネルギーを使ったり、筋肉に無駄な負荷をかけたりするのは、生物としておかしい。だから無意識に辛くないように動くのは当然だ。

「自律する」のもこれと同じ。そのままでも生きていけるのに、「自律」という負荷をかけることは不自然だ。「自律して働きたい」と思っていても、大人はこれまで身につけてきた能力で、その負荷をうまくかわしてしまう。しかも無意識に。

だから、私は生きやすく生きていくためにも、幼いうちに自己肯定感を育んでほしいと思っている。
スキルや知識よりも、この自己肯定感こそが、自律して生きていくための能力だとも言えるだろう。

自己肯定感を育むのに重要なのは、身近な大人である親が代表的な存在だ。この身近な大人に余裕がないと、子どもの自己肯定感を育むのは難しい。

だから、親や周りの人がもっと余裕を持って子育てができるようにしたい。

情報に溢れ返り、いろんな意見が飛び交う社会の中で、しっかり自分を持ち続けられるように、親自身も成長すること。
不安を共有し、解消できること。自分たちの疑問をみんなで調べ、解決していくこと。そういう場があってもいいと考えた。

まだ何が本当に必要なのかわからない。こういう場があることがプラスなのかさえ、わからない。でもそのうち見えてくるのではないかと思っている。だから見えてくるまで、まずは続けてみようと考えている。