TETAUが考えるワーケーション
ワーケーションという言葉がずいぶん定着したと感じます。
もちろん一般生活者には馴染みがなく、一部で盛り上がっている感じはあるものの、全然知られていない、ということもありません。
TETAUがワーケーションに出会ったのは2017年のこと。
自分自身が遊びと仕事を兼ねる環境が移住を決めさせたと感じていて、それを何の気なしに自治体職員の方にお話ししたところ、それって「ワーケーション」っていうんだよ、と教えてもらいました。
和歌山県が推進している、ということを聞いて、県の担当者の方にお越しいただいてワーケーションのイベントをやったことがきっかけで、TETAUもワーケーションに取り組むことにしました。
ワーケーションは「ワーク」と「バケーション」を同時にすることだと思われていますが、実際にはそれはワーケーションの中の一部です。
理解が進まないと、仕事を休暇に持ち込むなんて、とか、休暇はしっかりとったほうが良い、という話になりがちですが、それは現在進められているワーケーションの姿とは離れた姿です。
自治体がワーケーションを推進する意味はいくつかあると思います。
移住促進・関係人口創出・サテライトオフィスなどの誘致・団体観光客の誘致・観光地の閑散期の誘客などが主な目的です。
知ってもらわねば何も始まらないという状況において、PRを目的としたワーケーション促進はもちろん意味があると感じます。
しかしながら、考えなければならないのは、企業と地域のニーズ。
越境学習型のワーケーションは、思いつくのは簡単で、だからこそたくさんのプログラムが開発されていると思います。
わたしたちもそう思って活動してきました。
しかし、実際にはそう簡単ではないと思っています。
ワーケーションプログラムをパターン化しないと収益を出すのは難しいでしょう。しかしパターン化すればするほど、「越境学習」の要素は薄くなり、魅力がなくなります。どんどん観光に寄っていって、「テレワークできる場所」を用意した観光プログラムとなってしまう。これでは企業が訪れる意味をもてなくなってしまいます。
逆にワーケーションプログラムをテーラーメイド化するとどうなるかというと、地域側の負担が大きくなってしまいます。本当にその地域を短い期間で知り、考えようとすれば、かなり濃密なプログラムが必要になります。おのずとそのプログラムに関われる人は絞られていきます。地域と関係性を持ち、説得し、理解してもらい…というだけでも多大な時間がかかります。
仮にそれができたとしても、年に何回受け入れられるでしょうか。何回も受け入れようと思えばパターン化せざるを得ません。パターン化すれば面白みがなくなる。
ワーケーションの難しさはここにあると思っています。
そうしてTETAUが出した結論は、「ワーケーションは関係人口の入り口である」として、「永続的な関わりを持てる仕組みをつくる」という結論を出しました。
観光以上に、地域を知ろうとしてくださり、課題を自分ごととして考えてくださること自体は非常に好ましいことです。しかし、それを短期間で行おうとすると歪みが出てきます。プログラムで決められた中でやるというのはとても難しいことだと思います。なので、ワーケーションプログラムをきっかけにTETAUや地域のことを知っていただき、その後、永続的に関わっていく仕組みの中で関係性を構築し、課題解決や価値創造に関わってもらう、という形がわたしたちの結論です。