自律型人材の育成は地域課題解決そのものであるように思える〜テレワーカー養成研修2022を終えて〜
「専門スキルを身につければ、誰でもテレワークができるだろう」
そんなふうに簡単に考えてはじめたテレワーカー推進事業でしたが、実際にはそんなに簡単ではありませんでした。
同じように自営型テレワーカー推進の活動をしていた東京と、なぜか同じようにはいきません。
「なぜうまくいかないのだろう?」という自問を繰り返しているうちに、
「学び」のあり方の段階を遡っていくことになりました。
①専門スキルを身につける前に、ビジネスの基礎的なスキルがない。
②ビジネスのスキルの前に自律して動いたり、自己投資するという習慣がない。
③自律して動く前に「自分の意見を表現する」という機会が少ない。
④意見を表現する前に、問われる機会が少なく自分の意見を持つ機会が少ない
⑤意見を持つ前に自己の確立や承認ができていない。
⑥自己の承認に自己肯定感の低さが障壁となっている
ひとつひとつ遡るうちに感じてきたことは、人の根本的な能力が低いのが原因ではないということ。
経験したり気づいたりする機会に恵まれない、という地方の交流や競争などの少なさがこの状況を生んでいると言うことでした。
逆に環境さえ作れれば、スキルは後回しでもその人の力が生きてくる人がたくさんいる、ということ。
これまであまり働いたことがないという主婦の方が、自分のポジションや環境によって、大きく羽ばたくというような例を何件も目にしてきました。
それはすでにわたしにとっての確信です。
また、6つの自律型人材までのフェーズが与えているのは個人的な影響に止まりません。
地域課題や様々な問題に対して「自分は関係ない」という姿勢を産んでいる。
自分を受け入れられないことによって、他の価値観を受け入れられない。
課題解決が必要以上に大きな負担になっていたり、組織内での対立を生み出していたりと、なにかを達成するためにはとても難しい状況になっていることが、企業や組織の支援の中で毎日のように見られます。
自律型人材の育成は、単に独立して仕事をしていけるという目的だけではなく、
地域課題の解決にも欠かせない問題であるということです。
素敵な企画が地方でもたくさん展開されているのに、
いまいち地方が変わった感じがないのはそれが原因ではないかと思えるほどです。
限られた人たちの中でお祭りのようになされる課題解決の形をしたものは、本来の課題解決とはほど遠いのかもしれません。
課題感が大きい人も小さい人も、シームレスに地域の人たちがつながった状態が、本当に解決をするためには必要です。
思考が強い人たちが、言語でやりとりしているものだけを見つめ、
それが正解であると進めているうちは、課題解決は架空のものにしかなりません。
誰でも学び続け、体験し続け、自分を知り、他人をしることができる機会を提供し続けること。
また、その人が学びたくなる誘発要因の創造。
それらを行い続けることで地域の中に創造的な空気を生むことができる。
そう信じて活動を続けたいと考えています。